キャッシュレス化のメリット&デメリット≪店舗編≫

海外に比べると日本は現金依存型の社会と言われています。確かに日本において、貨幣を一切持ち歩いていないという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

日本でクレジットカードや電子マネーが普及しない理由の1つに、日本の紙幣に施されている高い偽造防止技術があります。海外に比べると偽札がほとんど出回っていないので、現金に対する信頼が高いのです。

しかし一方で、カードで支払う方が便利なこともたくさんありますし、政府はいろいろな施策を打ち出してキャッシュレス化を推進しています。ではキャッシュレス化すると、店舗にどのような影響が出るのでしょうか。

メリット

販売機会の増加

カード決済で販売機会を逃さない
2016年3月末時点でのクレジットカード発行枚数は2 億 6,600 万 枚で、前年比2.7%の増加でした。そのうち家族カードは1,794万枚、法人カードは888万枚で、いずれも前年より増加しています(一般社団法人クレジット協会調べ)。このことから個人の消費活動だけでなく、企業においてもカード決済の需要は多いと推測されます。

カードを利用する人は、カードが使えるかどうかをお店の選択基準の1つにしています。そのため、あらかじめカードが使えないとわかっているお店だけでなく、利用可能かどうかが分からないお店も、利用対象から外されてしまいます。またモバイル決済サービスを展開するSquareの調査では、「クレジットカード決済に対応していないお店は、ひと月に1回以上クレジットカードを使う潜在顧客の21%の来店機会を失っている」という結果が出ています。

以上のことから、現金以外の決済方法を導入し、店頭やホームページなどで広く周知することが、今まで取りこぼしていたお客様を呼び込むための対策の1つになりえると言えます。

客単価UP

現金よりも販売単価が高いカード決済
クレジットカードでの支払いは、現金決済よりも客単価が高くなる傾向があると言われています。電子マネーの場合はポストペイ型に同様の傾向が見られ、サイン不要のクレジットカード感覚で利用する人が多いようです。

プリペイド型は、あらかじめチャージしてある金額を超えて利用できないため少額決済が中心ですが、ユーザーがオートチャージ設定(一定の残高を下回るとあらかじめ登録したクレジットカードから自動でチャージされる)をしている場合はその限りではありません。現金以外の支払い方法が選べる事が購入につながるケースは少なくないと言えるでしょう。

会計ミスの防止

ミス防止にも効果あり

キャッシュレス化によって、受領した現金の数え間違いや釣銭間違いがなくなります。決済端末をPOSレジと連動させれば決済金額の手入力もなくなり、より会計ミスを防止することができます。クレジットカード決済では暗証番号の入力やサインが必要になりますが、電子マネーならその手間も省けるので、会計の時間短縮も期待できます。

現金管理のためのコスト削減

現金を数えるために人件費がかかっています

レジ締めは店舗において非常に重要な作業ですが、計算と現金が1度でピッタリ合うことは少ないのではないでしょうか。複数のスタッフで現金を数え直すようなことになれば、ほかの業務も滞ってしまいます。

しかしキャッシュレス化すれば、現金の授受が自動的にデータ化されます。また手元に残る現金も減るので、集計の手間や工数も減ることでしょう。レジ締めにかかる時間を短縮できれば、結果的にコスト削減につながることが予想されます。

現金保管や移動が不要

犯罪防止効果もあります

キャッシュレス化すると、店舗で保管する現金が減ります。また売り上げを銀行に入金するために、店の外に持ち歩く必要もありません。現金以外の取引が約8割を占めるというスウェーデンでは、キャッシュレス化を進めた結果、2011年には9,000件あった銀行強盗件数が 2012 年には21件に激減したというデータもあり、防犯の観点からも効果があると言えそうです。

デメリット

導入に際して初期費用がかかる

決済端末を用意するコストが発生します
クレジットカードや電子マネー決済を利用するためには、決済端末が必要です。また磁気式や非接触式、バーコード式など、読み取り方式によっては複数の端末が必要となることがあり、購入費用がかさむ可能性があります。1台で何役もこなせるマルチ決済端末や、POSレジとの連携が可能なタイプなど、できることなら機能性の高いものを選びたいものです。

決済手数料がかかる

売上の数%を手数料として納める必要があります

クレジットカードも電子マネーも、利用するためには安くても3~5%程度の決済手数料が発生します。加盟店手数料など月額費用がかかる場合や振込手数料を請求される場合もあるので、導入する決済方法や利用する業者などの選定も慎重に行う必要があると思います。

現金が手元に残らない

運営資金は手元に残しておかなければなりません
カード払いの場合は現金を扱わないため、手元にキャッシュが残りません。商品代金はクレジットや電子マネーの回収業者に一時的に預ける形になり、一定のサイクルで入金されます。入金サイクルを考慮しながら資金繰りを考えないと、急な出費の際に自由にできる現金がなく、支払いを滞らせてしまう可能性があります。カードのブランドや業者によっても入金サイクルは異なりますが、最近は月に2~3回の振込日を設定しているものもあるので、導入の際には要チェックです。

まとめ

店舗にとっては、現金に比べると一定のランニングコストがかかってしまいますが、キャッシュレス化することで人件費の削減や単価UPが期待でき、総合的に見ればメリットが多いと考えられます。早めに対応を完了させれば、今後増加することが見込まれる外国人観光客への販売機会も逃しません。

なお、先日ご紹介した「リテールテックJAPAN2017」には、決済関連の企業がたくさん出展予定です。最新機器の展示を予定している会社も多いですし、業界のトレンドをリサーチするのにも役立ち、効率良く導入を検討できるのではないでしょうか。