経営を最適化する賢者の知恵【誰にでもできる損益計算書の活用法】

安定したお店の運営のためには、お金に関する知識は必要不可欠です。しかし、お金にまつわる話になると、減価償却や利益率といった難しそうな単語が並んで、それだけで嫌になってしまう方もいらっしゃるのでは?今回は来店者数を指標に用いながら、日々の収支を見極める損益計算書の活用法をご紹介します。

経営を最適化するには数値の把握が重要

経営に携わる人なら、誰でも毎日の売上をチェックしていることでしょう。しかしその売上に含まれるコストはどうですか?正確に把握できていますか?売上に含まれる原価や設備費を正確に把握するためには、損益計算書を利用するのが一般的ですが、なかなか自分で作るのも難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

損益計算書とは?

会社の1年間の業績を表す決算書。これを構成する書類の1つが損益計算書です。売上高や経費をまとめ、それぞれの利益や損失の原因を明らかにすることができます。この考え方を月間の売上げに取り入れ、売上げに占める経費の割合を把握すると、経営の最適化がしやすくなるのです。

まずは固定費と変動費に分類してみる

飲食店を例に見てみましょう。飲食店の場合、肉や野菜といった原材料費が発生しますよね。他にも水道光熱費や通信費、地代や家賃、人件費、賃貸・リース料など、さまざまな項目が考えられます。これらを洗い出し、毎月の請求額が変わらない費用を「固定費」、月によって請求額が変わるものを「変動費」に分類してみます。

例えば家賃やリース料、社員のお給料などは、毎月定額なので「固定費」、原材料費や光熱費、アルバイト人件費などは月によって異なるので「変動費」という具合です。これらをまとめ、売上高などを加えると、簡易的な月間の損益計算書ができ上がります。

客単価のうち利益が占める割合はどれくらい?

例として、ラーメン屋「A店」の損益計算書を見てみます。このお店は利益が出ていませんが、赤字にもなっていない状態です。現在は1カ月の売上高が250万円、来店者数は3,125人、平均客単価が800円になっています。さて、細かい経費を「固定費」と「変動費」に分類し、ざっくりとまとめると上記のような表ができ上がります。

この表によると、「変動費」のうち売上に占める食材原価が30%、パート・アルバイトの人件費が20%、諸経費が10%で、売上高から変動費を控除した「変動利益」は40%であることがわかります。さらに、この数値を客単価に置き換えるとどうなるのでしょうか?このお店の客単価は800円で、利益の占める割合は40%。つまり、お客様が1人来店すると320円の利益が発生するというわけです。

黒字と赤字の分岐点を見つける

ところで、この計算には固定費が考慮されていません。A店では固定費(家賃など)として月に100万円かかっています。この固定費は利益の中から支払わなければなりませんよね。では、この固定費を払うために、何人のお客様に来店していただかなければならないのでしょうか?計算式は以下のようになります。

固定費÷1人当たりの利益=赤字を回避するために必要な来店者数

 

100万円÷320円=3,125人

この計算により、A店は1カ月に3,125人のお客様に来店していただかないと、固定費の支払いができないことがわかります。この人数は黒字と赤字の境目の指標、つまり「損益分岐点」です。この人数と客単価をかけると、月間の「損益分岐点売上高」がわかります。A店の場合、800円×3,125人=250万円…つまり250万円の売り上げがないと、赤字になってしまいます。

月間目標を設定し、毎日の進捗を管理

さて、このお店の経常利益(事業全体から普通に得られる利益)目標が24万円の場合、月間の売上高の目標はいくらに設定すべきでしょうか?250万円に24万円を足して274万円?

…いいえ、違います。客単価のうち6割は経費ですので、単純に月間の売上を増やしても目標の利益を出すことはできません。客単価のうち、利益となる4割の部分で24万円をかさ増しさせなければならないのです。ということで、計算式は以下のようになります。

(固定費+経常利益目標)÷変動利益単価=客数目標

客数目標×客単価=売上目標

 

(100万円+24万円)÷320円=3,875人

3,875人×800円=310万円

月間目標売上は310万円と算出できました。月間目標を設定したら、次は1日の売上目標と、1日の目標来店者数を設定しましょう。売上目標が310万円の場合、1カ月(30日間)で何人のお客様が必要かというと…?

310万÷30日=103,333円

103,333円÷800円=129.2人≒130人

これにより、1日130人のお客様に来店していただかないと、売上目標が達成できないことがわかります。現在の1日の来店者数は約105人なので、毎日25人のお客様を増やさなければなりません。

夕方6時の時点で、来店者数が60人。閉店する23時までの5時間で、あと70人のお客様に来ていただくためにはどうしたらいいか?…と考えると、次に打つべき手立てを検討しやすくなるのではないでしょうか。

まとめ

お店を経営するにあっては、さまざまな会計の知識があった方がいいと言われていますが、分厚い専門書を勉強するのは大変です。でも今回ご紹介した方法なら誰にでもわかりやすく、お店のスタッフ全員で数値を追うことも可能になると思います。経営にお悩みなら、この考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。

もっと詳しく知りたい方は「待ったなし! お金をかけない飲食店再建術:東海林 健太郎 (著)」を読みください。ストーリー仕立てになっており、物語を読み進めるだけで経営のノウハウを理解することができますよ。

次回はこの考え方を利用して、カード決済を導入した場合の損益を試算します。