改正割賦販売法の可決・成立でいったい何が変わるのか?

国会議事堂

2016年12月、クレジットカードを取り扱う業者にIC型カード対応を義務づける改正割賦販売法が参院本会議で可決・成立しました。カード加盟店を管理する業者の登録制度を新設し、悪質加盟店への調査が義務づけられるなど、不正使用対策を強化する内容になっています。この改正により店舗にはどんな影響があるのでしょうか。

改正の背景

2015年時点での日本国内におけるクレジットカードの発行枚数は約2億5,8790万枚。店頭だけでなくネット通販などの決済手段でも一般的になり、2015年の利用額はおよそ50兆円でした。

クレジットカードの利用が増える一方で、不正使用被害は2013 年から増加に転じており、2015年の被害額は120億円にのぼっています。偽造カードやEC(電子商取引)での“なりすまし”による不正使用などの犯罪は国境をも越えて発生しており、国際的にもセキュリティ対策が急務となっていました。

クレジットカードの不正使用被害額は2013年より増加傾向

2016年2月にクレジット取引セキュリティ対策協議会が発表した実行計画の資料より

また近年は「カード発行を行う会社」と「販売業者と契約を締結する会社」が異なる形態が増加し、これに伴ってクレジットカードを取り扱う販売業者の管理が行き届かないケースも出てきています。さらに、革新的な金融サービス事業を行うフィンテック企業の決済代行業への参入も拡大しており、更なる参入を見据えた環境整備が必要になりました。

こうした状況を改善するため、クレジット取引に関係する幅広い事業者等からなる「クレジット取引セキュリティ対策協議会」は、2016年2月に具体的な目標とカード取引に関わる各主体が取り組むべき事項等を取りまとめた「実行計画」を策定。2016年10月には「割賦販売法の一部を改正する法律案」が閣議決定されていました。

対策のカギはIC対応

クレジットカードのIC化が対策のカギ

店舗での不正使用対策で有効なのがカードのIC化です。従来の磁気カードに比べて、第三者による解析が困難でセキュリティに優れています。偽造も難しく、暗証番号であるPINコードを店頭で入力してもらうことで本人を特定できます。しかし、店の読み取り端末のIC対応化も必要で、現状では特にPOS端末での対策が遅れています。

経済産業省は2020年までにクレジットカードと読み取り端末のIC化を100%実現することを目指しています。ところが、昨年12月の日経新聞によると国内のIC型カードの普及率はおよそ6割。対応端末の普及率も2割弱にとどまっており、決済端末のIC対応が急務となっています。

改正割賦販売法の概要

(1)クレジットカード情報の適切な管理等

販売業者に対し、クレジットカード番号等の適切な管理及び不正使用の防止(決済端末のIC対応化等)を義務付けます。

販売業者には、クレジットカード番号等の適切な情報管理や不正使用の防止対策が義務づけられます。これにより販売業者は決済端末のIC対応化等が必要になります。

(2)加盟店の管理の強化

クレジットカード番号等の取扱いを認める契約を締結する事業者に登録制度を設け、その契約を締結した販売業者に対する調査及び調査結果に基づいた必要な措置を行うこと等を義務付けます。

クレジットカード発行会社や決済代行業者の登録制度が創設されます。登録の事業者は加盟店によるクレジットカード番号等の適切な管理や不正利用の防止に支障を及ぼすおそれの有無等を調査し、必要に応じて適切な措置を講ずることが義務づけられることになります。

(3)フィンテックのさらなる参入を見据えた環境整備

①十分な体制を有するFinTech企業も(2)の登録を受け、法的位置付けを獲得することを可能とします。
②カード利用時の販売業者の書面交付義務について、電磁的方法による情報提供も可能とします。

フィンテック企業も登録制度の対象となります。また販売業者にはカード利用時にレシートなどの書類を交付することが義務づけられていますが、この改正でメールなどによる情報提供が可能になります。

(4)特定商取引法の改正に対応するための措置

特商法の改正により、不当な勧誘があった場合の消費者の取消権等が拡充されたことに合わせ、こうした販売契約と並行して締結された分割払い等の契約について、割賦販売法においても同様の措置を講じます。

2016年6月の特定商取引法の改正で、不当な勧誘があった場合の消費者の取消権等が拡充されました。これを受け、悪質な電話勧誘などで不要なモノなどをカードで大量に買わされてしまった場合でも、クレジット契約を取り消して返金を受けられるようになります。

出典:経済産業省ホームページ

<参考>
割賦販売法の一部を改正する法律案に係る事前評価書
早わかり☆改正割賦販売法

まとめ

店頭に表示されるクレジットブランドのロゴ

この改正により、販売業者は決済端末のIC対応化が必要になりました。店舗は2018年6月の施行までに、端末の追加・入替えやシステムの更新などを済ませなければなりません。しかし、電子マネーやスマホ決済など支払方法も多様化しています。フィンテック企業の参入も相次ぎ、生体認証による決済方法なども登場していることを鑑みると、ICクレジットカードだけに対応すれば安泰とも言えません。今後の店舗経営においては、消費者のニーズにどこまで対応できるのかが課題になるのではないでしょうか。

このような話になってくると、将来に不安を抱く経営者の方もいらっしゃるかもしれません。でも最近はコストを抑えながらも、複数の決済方法に対応できる決済端末や代行業者も増えてきています。これらはきっと皆さんの強い味方になってくれるはずです。

まずはしっかりと情報収集をし、賢い選択のための土壌づくりをしましょう。ピピッとチョイス編集部も微力ながらお手伝いできるよう、今後もお役立ち情報をお届けしていきます。どうぞご期待ください!