【稼ぐ力の養成講座2】貸借対照表の見方!一体何が書いてあるの?

こんにちは、ピピッとチョイス編集部です。普段、楽器を演奏をしない人にとって、楽譜は意味不明な記号の羅列ですよね。楽譜がなくても歌ったりピアノを弾いたりできるので、楽譜が読めなくたって困らないとお考えの方も多いと思います。しかし楽譜に書いてある記号には作曲者の意図や思いが込められています。楽譜が読めることでより良い音楽を作るヒントを得ることができるので、音楽家はこぞって楽譜の読み方を学ぶのです。

決算書も楽譜と同じです。見慣れない言葉や項目がたくさん並んでいて、暗号のようなものになっているため、知識がないと読めません。個人事業主の皆さんの中には「決算書の見方がわからなくても経営はできる」という意見の方もいらっしゃるとは思いますが、読めないよりは読めた方がいいことはたくさんあります。

そこで今回は、決算書を構成する財務諸表の1つである「貸借対照表」を読みこなすために、必要となる知識について学んでいきたいと思います。

貸借対照表(Balance Sheet:B/S)とは?

貸借対照表は、企業が年に一回行う必要がある「決算」時点での財産の状況を表にしたものです。もともとは、銀行や株主が出資した相手の支払い能力をチェックするために作られるようになりました。この表が読めるようになると、会社にどれだけの「資産」があって、どれくらい「借金」があるのかがわかります。また、今までにどれくらい儲けたのかも知ることができます。

表の左側には『資産』、右側には『負債と資本』が記載され、左右の数値が一致するように書くことになっています。式で表すと「資産」=「負債」+「純資産」、略図にすると以下のようになります。

つまり左側と右側の金額は常に等しくなるのです。左右のバランスが保たれることから、貸借対照表はバランスシートとも呼ばれます。

「資産」はお金の使い道

貸借対照表の左側には「資産」が記載されます。簡単に言うとお金の使い道です。今月のおこづかい3万円のうち、1万円を家族との食事に使った場合、食事代1万円と現金2万円の合計は、月のおこづかい3万円と釣り合いますよね。

この状況を貸借対照表で表すと、資産の欄には食事代1万円と現金2万円を記載することになります。略図で示すと以下のようになります。

ただ、残念なことに一般の決算書では、そのような親しみやすい項目が並ぶことはほとんどありません。たいていは「売掛金」や「棚卸資産」「土地」「建物」といったものが並んでいます。また記載の順番にもルールがあります。

資産にも種類がある

資産には「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つがあります。「流動資産」と「固定資産」の違いは明確です。手放す時期が1年以内なのか、そうでないかの一言に尽きます。「繰越資産」は新製品開発のための研究開発費などが該当しますが、登場頻度はあまり高くありません。大事なのは「流動資産」と「固定資産」です。

流動資産とは

流動資産は1年以内に現金化される資産で、現金や預金、受取手形、売掛金、棚卸資産(販売するための商品在庫など)が代表的です。

受取手形は有価証券の一種で、相手が指定した期日に手形に記載された代金の支払いの約束を示すものです(別名:約束手形)。期日まで待って、その受取手形を銀行に持って行くと、銀行が取り立てをしてくれます。手形は取引をする時点において手元に必要な金額がなくても、発行することができます。

売掛金は商品やサービスの代金を、分割払いや後日支払いなどの約束(掛取引)で販売した際、一時的に未回収となるお金のことです。ただし1年以内に回収が見込まれるものを言います。

棚卸資産は商品や製品、原材料といった販売目的に結びついている財産のことです。いわゆる商品在庫や作りかけの製品などが該当します。これらは近い将来、お客様に販売されて現金に変わる予定なので、流動資産に区分けされます。

固定資産とは

固定資産は1年以上所有する予定で、販売することを目的としないものです。土地や建物、機械装置や商用車などが該当します。たとえば、最初から1年しか使わない予定で、多額のコストをかけて工場を新築するようなことは、普通はしませんよね。長期間保有するのが目的の資産だから「固定資産」になるのです。

【参考】掛取引と手形取引

企業同士の取引では、1日に何度も取引が発生したり、1回あたりの支払が高額になることも多いため、先に商品を引渡して後日代金を受け取る“掛取引”が頻繁に行われています。そして、手形取引は掛取引の一種です。掛取引のうち、約束手形が発行されるものを手形取引と言い、未回収金は貸借対照表の受取手形の欄に記載されます。また手形がない未回収金は売掛金として記載されるのです。

例えば、1億円で最新の機械を購入したいけど、現時点では支払えるお金がない。5か月後に大口契約の売上金が7,000万円入金される。手元の5,000万円とあわせれば半年後には支払いが可能になる…というような時に、「半年後に1億円支払いますよ」という手形を発行することで支払いを待ってもらうことができます。

決算書で取引先の財務状況を知ることがリスクの軽減につながる

いずれにしても、これらの取引はお互いの信用があって初めて成り立つものです。どんなに取引先の社長が誠実な人柄で信頼できる人だとしても、手元に現金がなければ代金を払ってもらうことはできません。相手方の財務状況を確認せずに大口契約を結んで、もしものことがあったとしたら…なかなか恐ろしい話だと思いませんか?

大口契約を結ぶ場合には、あらかじめ取引先の決算書を取り寄せたり、東京商工リサーチなどの調査会社の評価をチェックしている企業も少なくありません。取引先としてふさわしいかどうかを自分でチェックできるようになるという点でも、決算書が読めることは経営者にとって必要なスキルと言えるでしょう。

貸借対照表の右側はお金の出所

貸借対照表の右側には「負債」と「純資産」が記載されます。これらを見ると、お金がどこからやってきたのかがわかります。事業を行うために銀行から受けた融資は「負債」、自己資金や株主からの出資金は「純資産」に分類されており、事業の元手となるお金の内訳が分かるようになっているのです。

「負債」は返さなければならないお金

負債とは借りたお金のことで、資産と同じように1年を境として「流動負債」と「固定負債」に分けられています。

流動負債とは

「流動負債」は1年以内に返済しなければならないお金のことで、支払手形や買掛金、また1年以内に返済する短期の借入金も含まれます。

支払手形は受取手形と対になるもので、支払いの義務を負っている側が持つものです。期日までに支払うためのお金を用意できないと「不渡り」になります。6か月以内に2度の不渡りを出すと銀行取引停止の処分を受けることになり、銀行から融資も止まってしまいます。資金繰りが悪化して他の支払いが滞るだけでなく、社会的信用も失うことになるため、事実上の倒産と言われたりします。

買掛金は売掛金の対になるもので、支払わなければならないお金のうち、手形がないものです。居酒屋さんの飲み代をツケにして月末にまとめて払うような、そんなイメージのお金です。

固定負債とは

「固定負債」は1年以上かけて返済するお金です。銀行からの長期の借入金やマーケットから資金を調達するための社債などが含まれます。いずれにしても期限が来たら返さなければいけないお金です。

「純資金」は返さなくていいお金

一方「純資金」は自己資本や株主から出資された資本金、そして会社が過去に上げた利益の蓄積となる剰余金が含まれます。

資本金は株主が出したお金のことで、これは返さなくてもいい決まりになっています。その代わり、株は株式市場での売買が可能です。また会社に儲けがある場合、株主には配当金として利益の分け前をもらう権利が与えられています。

余剰金は会社が過去に上げた利益のことです。自分たちでつくりだしたお金なので誰にも返す必要はありません。

上から現金になりやすい順に記載するのがルール

実際の貸借対照表では上の図のような形で記載されています。決算書の記載方法にはルールがあり、現金化しやすいものから順番に記載していくことになっています。そのルールに従うと、おのずと流動資産の下に固定資産が、流動負債の下に固定負債が記載されることになります。

まとめ

株式を上場している企業は、ホームページなどのIR情報や決算報告という項目で自社の決算書を公開しています。規模の大きな会社になるほど子会社を含めた連結決算となっていることが多く、今回説明した項目の中に細かい内訳が入っていたりして読み解くのは大変です。そこで次回は、比較的簡単に貸借対照表を読み取るための秘策をご紹介したいと思います。