世界中で巻き起こるキャシュレス化の波に日本は乗ることができるのか?

こんにちは、ピピッとチョイス編集部です。LINEは店舗向けのQRコード決済アプリを発表し、2018年8月から3年間の決済手数料を無料にすると発表しました。その直後にヤフーがYahoo!ウォレットにコード決済機能を発表し、日本でもスマホによるQR決済が注目されています。世界の風潮に乗じて、日本もキャッシュレスに転じることはできるのでしょうか?

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海外のキャッシュレス事情

欧米では昔からクレジットカードが普及しており、コーヒー1杯でもカードで払うという話はよく知られています。北欧のデンマークもクレジットカードやデビットカードが主な支払方法となっており、鉄道の券売機には現金の投入口がありません。そのため現金で切符を買う場合は有人窓口に並ばなければならないそうです。

中国では都市部での高いスマホ普及率を背景に、アリペイやWeCat Payといったスマホ決済が主流となっています。物乞いの首にアプリ送金用のQRコードがぶら下げられている様子は、ネット上でも話題になりました。

現金が主流だったインドでは、2016年11月、モディ首相がブラックマネー対策として高額紙幣の廃止を宣言しました。そのままでは紙幣が紙切れに変わってしまうため、人々は両替を求めて銀行やATMに殺到しましたが、両替に必要な新札の準備が間に合わず、大混乱に陥りました。ところがこの現金不足をきっかけに電子決済が市民に広まったことで、急速に落ち着きを取り戻しました。

世界中でキャッシュレスが広まる理由

世界の国々がキャッシュレスに舵を切る理由の1つは、コストが抑えられるからです。お札や硬貨を作るには一定の費用がかかります。特に日本の場合は偽札防止の目的で高度な技術が使われているため、貨幣の発行には多額のコストがかかっています。キャッシュレス化することで、お金を作る費用や現金管理のセキュリティコストを削減することができます。

キャッシュレス化は犯罪防止にも役立ちます。匿名性の高い現金は利用履歴が残りません。それをいいことに脱税やマネーロンダリングなどの不正が発生している現状があります。紙幣の精度が低く、簡単に偽造できる場合は偽札が横行しますし、自宅や店舗に現金を置いておくと強盗や窃盗のリスクが高まります。ちなみにキャッシュレス化が進んだスウェーデンでは、銀行に現金を置かなくなったことで銀行強盗が激減したという事例があります。

<参考>
プレジデントオンライン:世界で加速する「キャッシュレス革命」

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日本のキャッシュレス事情

日本では家庭でのインターネット利用が広まり始めた2000年代以降、オンライン決済に必要となるクレジットカードの発行枚数が増えています。その頃には交通系電子マネーのSuica(スイカ)が誕生しており、その後非接触ICを搭載したおサイフケータイが世に出回りました。現在、給料の受け取り方法は銀行振込がスタンダードですし、運送会社の人手不足が深刻になるほど通販の利用も増えています。しかしクレジットカードや電子マネーが使えるお店は百貨店や大型ショッピングモール、全国チェーンのコンビニ等が中心で、小規模店舗では使えないケースが非常に多く、いまだにキャッシュレス決済の比率は10%台に留まっています。

世界的なキャッシュレス化の流れを受けて、政府は「キャッシュレス決済」の比率を2025年に40%まで高める目標を決めています。しかし早い段階から優れたキャッシュレス技術を有していながら、現在も利用比率が低水準で推移している現状を鑑みると、道は険しいと言わざるを得ません。

<参考>
日本経済新聞:キャッシュレス決済比率40% 目標2年前倒し 

なかなかキャッシュレス化に進まない理由

店舗が導入しない理由

ネット通販ではクレジットカード決済が主流となっており、クレジットカードや電子マネーカードの発行枚数は現在も増加傾向にあります。それでも実店舗でのカード決済が日本で広まらないのはどうしてなのでしょうか。

理由の1つに店舗への導入ハードルの高さが挙げられます。CAT端末と呼ばれる専用カードリーダーや、通信環境の整備には高額な費用がかかります。またカード決済の場合、売上の3~5%の決済手数料が発生します。

クレジットカードは店舗から支払われる手数料によって運営されており、カード利用者が代金を払わなかった場合の回収費用も上乗せされているため、高額と言わざるを得ません。近年は料率が下がる傾向にあるものの、同じ商品を販売してもお客様がカード決済を選択すれば利益が目減りしてしまうわけですから、店舗にとってはネックです。

カード決済は一時的にカード会社が代金を立て替えますが、だからといって店舗にはリアルタイムで入金されません。商品を販売しても手元に現金が残らないため、お店にとってはお客様に使われたくない決済手段という認識になってしまいます。

消費者が利用しない理由

一方、利用者にも使おうとしない理由があります。もちろんクレジットカードは便利ですし、ポイントも貯まります。しかし代金は後日まとめて請求されるため、利用状況をきちんと把握していないと予想以上の高額請求に困窮することになります。電子マネーの場合はいちいち残高をチャージする手間があり、チャージしたお金を簡単に現金に戻すことができない点も消費者の積極的な利用を妨げる原因と考えられます。

日本は海外に比べると治安が良く、偽札をつかまされる心配もありません。また街中のあちこちに設置されたATMで、いつでも現金を引き出せます。まだまだカードが使える店舗が少ない日本の社会で、カードを積極的に使わなければならない理由はなかなか見つけられません。

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これから日本はどうなっていくのか?

クラウド会計ソフトやロボアドバイザーによるAI投資、さらには仮想通貨による国際送金などが一般に広まりつつある中、大手金融機関もビジネスコンテストを開催したり、独自の仮想通貨開発に乗り出すなど、フィンテックへの関心を高めています。店舗向けにはスマホやタブレットとコードレスタイプのカードリーダーを連携させるモバイル決済も登場してします。近年増えつつあるQRコード決済アプリなら、専用のカードリーダーを用意する必要がないため、導入ハードルはさらに下がります。

中国ではその手軽さからQR決済が爆発的に普及したため、これから日本でも急速に広まるかもしれません。ただし中国の場合は偽札の被害が非常に多いことや、クレジットカードを持てない人が多いために他国に比べるとクレジット決済設備が普及していなかったことなど、社会的背景が異なる点を考慮する必要があります。

政府は2020年の東京オリンピックを念頭に、訪日外国人の利便性向上や販売機会の喪失防止のため、カード決済を推奨しています。全国各地で実証実験を行ったり、IT導入補助金を設けて中小企業への導入を促しているのもその一環です。田舎の小さなお店でもクレジットカードや電子マネーが使えるようになれば、今よりもカードで支払う人は増えるかもしれません。しかしキャッシュレス先進国と同じような形を日本でも実現することはできるのでしょうか?

クレジットカードはコストがかかる

2018年7月現在。消費者向けのスマホ決済アプリは何種類も存在しています。その大半はアプリに紐づくクレジットカードによって決済を行います。一方、中国で主流のアリペイやWechatPayは銀行口座と紐づけられています。中国本土でアリペイ決済を行う場合、消費者にも店舗にも手数料はかかりません。

日本で同じ銀行の別口座に送金する場合、インターネットバンキングを利用すれば支店に関わらず送金手数料が無料であることが多いですが、アリペイも同じような仕組みと考えられます。現在日本に多いクレジットカード登録型のアプリでは、クレジット会社を介入させることで余計なコストが発生していると考えることもできます。

キャッシュレス普及のカギはデビットカード型QR決済?

その点、横浜銀行のはまPayのように銀行口座を紐づけて使うデビットカード型のアプリ決済であれば、クレジット会社を介さない分、手数料を安く抑えられる可能性があります。口座の残高からリアルタイムで引き落としされるので、現金感覚で使える点もメリットです。

ちなみに2018年7月に正式リリースされたスマホ決済アプリ「pring(プリン)」は、店舗が支払う決済手数料が0.95%に設定されています。利用者はアプリと銀行口座を紐づけて使いますが、アプリにチャージしたお金を無料口座に戻すことができる点が画期的です。他のアプリでも銀行口座にチャージ金額を戻すことができますが、たいていは手数料がかかります。日本でキャッシュレス化を促進さえるためには、現金と変わらない利便性とコストを意識させない工夫、そして何よりキャッシュレスを選択することの必然性を消費者が感じなければならないと思います。

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まとめ

バルト三国の1つエストニアでは、10年ほど前から電子政府化が進んでいます。最先端のIT技術で行政サービスの99%がデジタル化され、結婚・離婚と不動産売買以外の行政手続きは全てネット上で完了できるそうです。各行政機関のデータベースは相互リンクされ、オンラインで個人の情報を閲覧できます。

国民一人ひとりに付与されるIDには銀行口座の記録も紐づけられており、家計簿が自動で作成されるので、税金も自動で計算されています。そのため脱税ができません。また納税申告が不要となり、税理士や会計士の仕事が激減しています。

エストニアは極端な事例かもしれません。しかし自動運転技術で無人走行可能な車や、ロボットが接客するホテルが既に日本に登場しているのも事実です。子どもの頃SF映画で見たような社会が、この日本にもやってくるのかもしれません。

※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。

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