コンタクトレス決済とは?世界各国での普及状況まとめ

コンタクトレス決済(Contactless Payment)とは、Contact(接触)がless(無い)決済方法のことで、非接触型ICチップによる決済方法のことです。欧米では一般的に電子マネーチップが入ったプラスチックカードをContactless Cards、電子マネー決済のことをContactless Paymentと呼んでいます。今回はコンタクトレス決済という英語にちなんで、海外における電子マネー決済、コンタクトレス決済の利用状況やサービスについてお伝えしたいと思います。

世界のコンタクトレス決済事情

ロンドンオリンピックをきっかけにコンタクトレス決済が普及したイギリス

Visa PayWave

イギリスの実店舗では、決済件数ベースで7~8割がクレジットカードやデビットカードなどのキャッシュレス決済になっており、そのうちの2割以上が電子マネー決済になっています(英国のThe UK Card Association 2016年9月度調査より)。主にVisa payWaveが最も普及しており、2012年のロンドンオリンピックがその普及を助けたようです。Visa payWaveはポストペイ(後払い)型の電子マネーで、基本的にクレジットカードと紐付けて利用します。イギリスでは30ポンド以上の決済ではPINコードの入力もしくはスマートデバイスでの指紋認証が必要になっているようです。イギリスを始めとして、西ヨーロッパ諸国でもVisa payWaveやMasterCardが提供する同様のサービスであるMasterCard PayPassが普及しつつあります。

参考:
The UK Card Association
VisaNews「選べるVisaのラインナップ Visa payWave」

FeliCa規格を世界で始めて導入した香港

Octpus(オクトパス[八達通]電子マネーカード

香港では、公共交通機関用のプリペイド式電子マネーであるOctpus(オクトパス[八達通])が発行されています。これは、世界で初めて、ソニーの非接触電子マネー規格FeliCa(フェリカ)を採用したプリペイドカードです(1997年サービス開始)。プリペイド式ではあるものの、銀行口座からのオートチャージシステムに対応しており、地下鉄やバスなどの交通機関のほか、コンビニやスーパーでも決済手段として利用できます。オフィスや学校などの入退室管理システムなどにも利用されていることもあり、発行枚数は2,000万枚を超えています。これは流通域内の人口の3倍以上の発行枚数です。

コンタクトレス決済よりスマートペイが活況の北京

北京市政交通カード(Beijing Municipal Administration and Communications Card)

北京では、「北京市政交通カード(Beijing Municipal Administration and Communications Card)」が主な電子マネー決済方法として利用されています。ちなみにNFCの規格はTypeAです。中国ではNFCチップに依存した決済よりも、個人の銀行口座に紐付いているAliPayのようなスマートデバイスによる決済システムや、国策によって発行枚数が世界最多の銀聯カードもかなり普及していますので、シェアとしては非常に低いです。そうは言っても1,500万枚以上発行されており、スーパーやレストランでも利用できます。広義ではAliPayやWeChat Paymentなどのスマートペイも非接触決済ではあるものの、通常コンタクトレス決済と言えばNFCチップを利用した決済のことを指す場合が多いようです。

参考:
北京市政交通一卡通有限公司

交通系電子マネーの普及率が高い韓国

contactless-payment-fig9

韓国は国策で一定規模以上の商店に対してクレジットカードの取扱いを義務化しているため、クレジットカードの利用率がアメリカ同様に非常に高いのが特徴です。そんな韓国では意外にも1995年に公共交通機関でのIC乗車券の利用推進法案が成立しており、1996年にUpass(ユーパス)と呼ばれるIC乗車カードが普及し始めました。

その後、日本と同じように複数のカード運営会社が地域の交通機関と提携して交通系ICカードを発行していましたが、相互利用ができなかったため、政府が2006年に標準交通カードの規格を定め、現在ではソウル市を中心に利用されているT-money(ティーマネー)カードに統合されつつあります。T-moneyカードの発行枚数は1,000万枚を超えていて、規格はTypeA/Bを採用しています。T-moneyカードはコンビニなどの買い物にも利用できますが、小売店等の加盟店はそこまで多いとは言えず、前述のクレジットカードの普及も相まって、それほど大きな決済金額規模には至っていません。

参考:
T-moneyホームページ(韓国語)

コンタクトレス決済が最も普及?しているオーストラリア

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オーストラリアでは、NFCによるコンタクトレス決済の普及率が非常に高く、国民の63パーセントがコンタクトレス決済を利用しているという調査結果も発表されています。特に、コモンウェルス銀行などの国内主要銀行が主導し、自社で発行したMasterCard・VisaブランドのカードをMasterCard PayPassおよびVisa payWaveで利用することを推進しています。前述の2つのサービスを活用すれば、100オーストラリアドル以下の決済の場合、PINコードの入力不要でセキュアな取引が可能です。さらに盗難や紛失時に補償される仕組みもあるので、スマートフォンの指紋認証等によって不正利用防止に役立つとしています。

そもそもオーストラリアではEFTPOS(エフトポス)と呼ばれるキャッシュカードで、デビッドカードに似た決済方法が普及しています。また、大手銀行やカード発行会社が各種クレジットカードやコンタクトレス決済といった全ての決済方法に対応した端末を普及させつつあり、このEFTPOSは決済手数料も実質2%~という比較的コストを抑えた導入が可能になっていることが普及の背景にあるようです。

参考:
オーストラリア決済協議会
コモンウェルス銀行[Contactless Payments]

まとめ

決済方法は、世界的に見てもアジアを中心に現金から電子マネーに変わりつつあります。さらに、クレジットカードの利用率が高いアメリカや韓国でも、高額な商品でない限りは、クレジットカードと比較してもレジでの手間も減ることから、わずかとはいえ電子マネーが浸透しつつあります。

ただ筆者の意見としては、電子マネーチップという物理的なデバイスに縛られているうちは、AliPayやWeChat Pay、またアメリカを中心に普及しつつあるMCXなどのQRコードで決済が可能になるスマート決済サービスとの差別化は難しいように思えます。そもそも決済方法(および、そのプラットフォーム)普及の鍵になるポイントとしては、下記の4点があります。

  • チャージや決済手順の簡素化
  • 決済端末などのデバイスと利用者の普及
  • 決済履歴などの参照性やポイントカード機能
  • セキュリティ(不正利用防止策)

特にデバイスの普及は、店舗がいかに低コストで導入できるかという点にかかっているので、汎用的で安価な決済端末で導入ができるスマート決済に利があります。オーストラリアなどはこれに対抗するという企図もあり、実質無料で決済端末が利用できる仕組みを作ったりしています。

参考:
MCX(Merchant Customer Exchange)