EMVとは?世界の状況とクレジットカードのIC義務化について

現在、発行されているクレジットカードには、磁気ストライプと接触型ICチップの両方が搭載されているものが多いです。しかし店舗では磁気ストライプを読み取るタイプの決済端末が普及しています。そのため、2018年6月に施行される改正割賦販売法では、店舗の決済端末のIC対応が求められています。

こういった流れはクレジットカードのEMV化が奨められている影響によって現れているのですが、この「EMV」とは何のことだか皆さんはご存じでしょうか?今回はEMVについての知識を深めるとともに、海外のEMV化の様子や日本の取り組みについてご紹介します。

磁気カードは危ない!? EMV化が進む理由

「EMV」とはMasterCardの「M」とVisaの「V」、そこにEuropay Internationalの「E」を取って名付けられたIC型クレジットカードの統一規格です。この規格は1998年に策定されました。

EMVが誕生する背景には、クレジットカードの不正使用問題がありました。一般に使われている磁気クレジットカードは情報量が少ないという性質上、不正利用されやすいのです。スキミングという方法を使えば、およそ2,000円程度で偽造カードが作れてしまうほど、セキュリティ面は脆弱です。

1990年代にスキミング被害が急増したため、ヨーロッパを中心としてEMVが策定されました。特にイギリスやフランス、スウェーデンといった地域では、今やIC型クレジットカード対応率がほぼ100%なのだとか。そう考えると、ヨーロッパはクレジットカード業界の国際標準と言っても過言ではないのかもしれません。

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アメリカはEMV後進国だったが・・・!

意外に思われるかもしれませんが、アメリカでは数年前まで磁気クレジットカードがほぼ100%を占めていました。Mobile Payment Newsというところが2014年に調査したときには、全体のおよそ0.3%しかEMVに準拠していないという結果が出たほどです。Visaの調査結果でも、EMVに対応した決済端末を置いているところは9%に留まりました。

このままではいけないと危機感を持ったのが、時のオバマ大統領。2014年にオバマ氏はカードセキュリティに関する大統領令を出し、EMVに準拠したカードの発行を義務化しました。これにより2015年は約50%だった準拠率が2017年にはほぼ100%に急上昇!まさに鶴の一声ですね。

なお、クレジットカード決済端末については、「ライアビリティシフト」を導入しています。これは、「もしも不正が行われた場合には、加盟店やカード決済業者の責任になる」というルールです。Visaの推計では、2018年には全体の92%がEMVに準拠した決済端末を導入するという予測が立てられています。

日本のEMV化の現状は?

ここまで来ると、ちょっと気になる日本国内のEMV準拠。……意外にも日本は2001年からEMVに対応しており、ICチップ搭載型クレジットカードを発行してきました。しかし、American Expressやダイナースクラブなど、一部の国際ブランドはEMVの導入に消極的だったために、ヨーロッパのように加速度的なICクレジットカードの発行はしてきませんでした。

そのため、2017年の時点でもEMVを導入したカードの発行は70%程度と中途半端な状態です。決済端末に至っては2014年のVisa調べで17%と、アメリカのその当時より少しマシといった程度でした。

この惨状に対応するために、日本政府は2016年に割賦販売法という法律を改正。来たる2018年6月に施行されます。東京オリンピック・パラリンピックがある2020年までに、「国内で発行されているすべてのクレジットカード、および決済端末をEMVに準拠させることを義務付ける」と経済産業省は発表しました。これで、日本もEMV後進国とは言えなくなってくるのではないでしょうか?

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まとめ

今回は、EMV化に関する様々な国の様子をご紹介してきました。日本でもEMV化の取り組みは進んでいますが、ここで1つ問題があります。それは「誰がEMVに準拠した決済端末費用を持ってくれるのか?」ということです。実は磁気型のクレジットカードの決済端末よりも、ICチップ搭載型のクレジットカード決済端末の方が値段が高いのです。「改正割賦販売法が施行されるから、お店側ですべて負担してください」というのはあまりにも酷な話です。

そこで活躍が見込まれるのが「Square」「楽天ペイ」「Coiney」といったモバイル決済端末です。これらは専用のアプリをインストールしたモバイル端末とカードリーダーをつなぐだけで、クレジットカード決済ができるという優れたサービスなのです。カードリーダーにはイヤホンジャックに差し込むタイプや、Bluetooth(無線)でつなぐタイプが登場しています。

先に触れた「ライアビリティシフト」というルールの導入の影響で、こういったモバイル決済サービスをしている会社は、専用のクレジットカードリーダーをEMVに準拠したものに対応させてきました。つまり、これからは格安のIC対応決済端末が普及することが予見されます。

今現在、磁気型カード決済端末を使っているお店の方は、6月までにICチップに対応した決済端末を導入しないと法律違反になってしまいます。この機会にコストを抑えて導入できるモバイル決済を検討してみてはいかがでしょうか?

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