2023年から始まるインボイス制度。実はキャッシュレスと親和性が高い?

過去に2度見送られた消費増税。しかし安倍首相の発言により、2019年10月から10%に引き上げられることがほぼ確実になりました。消費増税に際しては、生活必需品の税率が据え置かれる軽減税率が適用されることが決まっています。これに伴い物品の売買に関連する制度も変更され、小売業以外の会計処理にも影響が出る見込みです。

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消費増税とともに実施される軽減税率制度

消費税が8%に引き上げられた2014年以降、景気の低迷が予想以上に長く続き、政府は批判を浴びました。今回の消費増税では同じ轍を踏まないため、欧米をはじめとする先進国の事例を参考に、生活必需品の税率を8%に据え置く「軽減税率」の導入を決定しています。税率8%の対象商品はお酒や外食サービスを除く飲食料品が中心です。

軽減税率が適用されると、同じ店舗で同じ商品を購入しても、状況によって適用すべき税率が異なる場面が予想されます。例えばコンビニでソフトクリームを購入する場合、イートインコーナーで食べるなら10%、店の外に出て食べるなら8%です。政府はシチュエーション毎に適用すべき税率を示したガイドラインを提示していますが、わかりにくいという声は後を絶ちません。

現在の消費税にまつわる制度

現行のルールでは、取引先が発行した請求書を客観的な証拠書類として保存することが求められており、仕入税額控除を受けるための要件にもなっています。これを請求書等保存方式と言います。

この書類には「発行者及び受領者の氏名又は名称」と「取引の年月日、内容、対価の額(税込)」が記載されていればOKです。現在は消費税率が8%に固定されており、適用税率や税額が記載されていなくても支障がないため、記載の義務がありません。

しかし軽減税率を導入した場合、商品に適用された税率が明確でなければ税制を正しく運用できません。そのため、軽減税率の導入に伴い「インボイス制度(適格請求書省保存方式)」を導入することが決まっています。

仕入税額控除とは

事業者は商品代金に消費税を加算して販売し、そこで受け取った消費税を税務署に納めます。その際、商品の仕入れ時に支払った消費税額を差し引いて納税します。これを仕入れ税額控除と言います。

例えば税抜き1,000円の商品を仕入れる時、店舗は消費税として100円が加算された代金を支払います。この商品を仕入れ値(1,100円)の3倍となる3,300円で販売した場合、顧客からは消費税として330円が加算された代金(3,630円)を受け取ります。

このとき、店舗はお客様から受け取った330円から仕入れ時に支払った消費税100円を差し引いた230円を税務署に納めます。これが仕入税額控除です。ちなみに、売れ残りの商品を値下げして販売し、売上に占める消費税額が仕入れ時に支払った額を下回った場合、国は払い過ぎた消費税を還付してくれます。

消費税の課税事業者の条件

現行の制度において、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税が免除されています。そのため、消費者から徴収した消費税は店舗の売上げとして手元に残すことができます。

納税義務を負う事業者(課税事業者)に対しても、請求書等があれば、免税事業者から仕入れた場合の消費税を仕入税額控除の対象として申請できます。このことから、政府が徴収すべき消費税の一部が小規模事業者の優遇に使われていることがわかります。

軽減税率導入から3年以内に始まるインボイス制度

適格請求書の例

【引用】中小ビジネス支援サイトJ-Net21:ビジネスQ&A

消費税に複数の税率が適用されると、消費税を正しく徴収しているかどうかの確認が難しくなります。そこで新たに導入するのが「インボイス制度(適格請求書省保存方式)」です。この制度は軽減税率の適用から3年後を目途に導入することが平成28年度税制改正大綱に定められており、2018年11月現在、政府は2023年10月の導入を予定しています。

インボイス制度は、消費税の納税義務を負う課税事業者に対して「インボイス」の発行およびその副本の保存を義務づけます。導入以降に仕入税額控除を受けるためには、新設される適格請求書発行事業者が交付した「適格請求書」もしくは「適格簡易請求書」が必要です。

<参考>
財務省:平成28年度税制改正の大綱

適格請求書発行事業者登録制度の創設

インボイス制度の導入に伴い、適格請求書発行事業者登録制度が設けられます。これは適格請求書を発行できる事業者を税務署に登録する制度です。適格請求書発行事業者は、一部例外を除き「取引先の求めに応じて適格請求書を交付する義務」と「交付した適格請求書の写しを保存する義務」を負います。

登録の対象は消費税の課税事業者に限られるため、売上げが1,000万円を下回る事業者は仕入税額控除に必要な書類を発行できません。このためインボイス制度が導入されると、適格請求書発行事業者に登録されていない業者から仕入れた場合には、仕入税額控除が受けられなくなります。

インボイスに必須となる記載事項

インボイスには従来の記載内容に加え、「適格請求書発行事業者の登録番号」「税抜き価額又は税込価額を税率ごとに区分した合計額及び適用税率」「消費税額等」の記載が義務付けられます。インボイス制度の導入は軽減税率の適用から3年後を目途としており、移行期間中は区分記載請求書等保存方式が採用されます。

区分記載請求書等保存方式とは

【引用】中小ビジネス支援サイトJ-Net21:ビジネスQ&A

2019年10月1日~2023年9月30日は、従来の「請求書等保存方式」を継続しながら区分経理に対応するため、「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。区分記載請求書には現在の記載事項である「発行者の氏名又は名称」「取引年月日」「取引の内容」「受領者の氏名又は名称」に加えて「軽減税率の対象品目である 旨(「※」印等をつけることにより明記)」と「税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)」の記載が必要になります。

区分記載請求書は記載事項を満たす領収書や納品書のほか、レシートのような取引記録も含まれます。しかし交付義務や写しの保存義務はありません。仕入税額控除を受けるためには区分記載請求書および帳簿の保存が必要です。ただし支払対価が3万円未満の場合や区分記載請求書の交付を受けなかった等、やむを得ない理由があるときは帳簿へに記載して保存することで仕入税額控除を受けることができます。

<参考>
中小ビジネス支援サイトJ-Net21:ビジネスQ&A

インボイス制度の導入スケジュール

中小企業庁が発行する冊子「消費税軽減税率まるわかりBOOK」には、インボイス制度への移行スケジュールが掲載されています。消費税が10%になる2019年10月からは区分記載請求書等保存方式を、2023年10月からはインボイス制度を適用します。なお、インボイス制度の実施に必要となる適格請求書発行事業者の登録申請は2021年10月1日からの予定です。

<参考>
中小企業庁:消費税軽減税率まるわかりBOOK

軽減税率の導入で日々の記帳はどう変わる?

軽減税率が導入されると、適用された税率毎に区分して帳簿に記載しなければなりません。請求書や納品書に書かれている税率が正しいかどうかの確認も必要です。また加工食品のように税率の異なる原材料を仕入れて商品にする場合、販売時の税率も加味した価格設定が必要かも知れません。いずれにせよ今までよりも計算に手間がかかります。

インボイス制度では、記載事項を満たしていれば納品書や領収書もインボイスとして認められます。受発注をシステムで行っている場合の「電磁的記録(データ)」もOKです。なおインボイス制度後はいわゆる「電子インボイス」が法定されるので、会計ソフトなどを使って電子化しておくと業務効率が改善できると思います。

<参考>
流通BMS.com:インボイス制度におけるシステム対応はどうすれば良いか ~財務省のキーマンに訊く~

インボイス導入を見据えたキャッシュレス化のすすめ

帳簿の管理の中で、最も負担になるのは現金とのつき合わせ作業だと思います。現金を扱う場合、入出金の記録は基本的に手入力になるため、間違いが発生しやすい環境と言わざるを得ません。

その点クレジットカードやQRコード決済のようなキャッシュレス決済なら、端末に入力した金額と実際に動いた現金に差異は発生しません。現金とのつき合わせも不要です。軽減税率の導入で帳簿の記載事項が煩雑になる分、キャッシュレス化して現金管理にかかるコストを削減すると良いのではないでしょうか。

軽減税率対策補助金でコストをかけずに対策を!

国は中小事業者を対象に、複数税率に対応するレジの導入や受発注システムの改修用の一部を負担する軽減税率対策補助金を交付しています。クレジットカードや電子マネーといったキャッシュレス決済は、レジと一緒に導入することで補助金の対象に含むことができます。受付期間は延長され、事業完了が2019年9月30日まで、申請は2019年12月16日までとなっています。

<関連記事>
2019年10月から消費税率は10%へ。あわせて実施される軽減税率制度とは?

まとめ

2019年10月から8%と10%が混在することになる消費税。日常生活だけでなく、企業の帳簿管理にもさまざまな影響が見込まれます。インボイス制度が始まるのはまだまだ先の話ですが、お金の管理は厳密に行わなければなりません。

3年後、5年後を考えたとき、キャッシュレス化には間違いなくメリットがあります。今なら補助金を利用してキャッシュレス決済を導入することも可能です。今こそキャッシュレス化に向けて動き出すべき時ではないでしょうか?

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