じゃらんフォーラム2017で聞いてきた!旅行マーケットの最新トレンド

株式会社リクルートライフスタイルが開催する「じゃらんフォーラム」。旅行サイト「じゃらんnet」、旅行情報誌「じゃらん」、観光に関する調査研究機関「じゃらんリサーチセンター」が主体となり、リクルートライフスタイル関連事業のこれからや旅行事業の取組、今期の方向性などを発表する場で、毎年6月から7月にかけて、全国の主要都市で開催されています。

今年のフォーラムは、“共に創る ~旅を創り、未来を創る~”と題して企画された講演と、「じゃらんアワード2016」 の表彰がありました。ピピッとチョイス編集部は2017年7月5日に開催された「じゃらんフォーラム2017 福岡会場」に参加しました。今回は「じゃらんフォーラム2017」の概要と、福岡会場で聞いてきた旅行業界の最新トレンドについてお伝えします。

じゃらんフォーラム2017 福岡会場

「じゃらんフォーラム2017福岡会場」は、博多駅にほど近いホテル日航福岡の大宴会場で盛大に開催されました。九州中のホテルや宿泊施設の方々が一堂に会し、リクルートライフスタイルの代表取締役社長 淺野健氏の挨拶でスタート。リクルートライフスタイルが掲げるビジョンや、じゃらんの取り組みと今後についてのお話、そして各分野のエキスパートによるセミナーがありました。

じゃらんアワード2016では、2016年度に九州ブロックで素晴らしい実績を収めた宿泊施設が表彰されました。2016年は熊本地震による甚大な被害や風評により、九州の旅行業界は大変な困難に見舞われた年でしたが、各宿泊施設とじゃらんスタッフが協力して立て直しに取り組み、その絆がさらに深まっていることが感じられました。

<プログラム>

1. 開会の挨拶
・リクルートライフスタイルの今後
(株)リクルートライフスタイル 代表取締役社長 淺野 健氏
・じゃらんの取組と今後について
(株)リクルートライフスタイル 執行役員 旅行領域担当 宮本 賢一郎氏
2. 旅行マーケットの最新トレンドと導入事例
(株)リクルートライフスタイル 企画統括室 編集統括部
『九州じゃらん』編集長 長田 佳子氏
3. 地域を変える「稼ぐ観光」の可能性 ~先行する日本版 DMO 事例より~
(株)リクルートライフスタイル じゃらんリサーチセンター センター長
兼 旅行営業統括部 地域創造部 部長 沢登 次彦氏
4. CSの未来 ~変わらないCSと変わっていくCS~
(株)リクルートライフスタイル 企画統括室 CS 推進部
グループマネージャー 山田 修司氏
5. じゃらんアワード2016 (九州ブロック)

6つのトレンドと宿泊施設の導入事例

じゃらんフォーラムでは、日本版DMOの紹介や集客や顧客満足実現のヒントになるようなセミナーがありました。特に興味深かったのは、九州じゃらん編集長の長田佳子氏が登壇した「旅行マーケットの最新トレンドと導入事例」です。注目のトレンドと、そのトレンドを上手に取り入れた事例をわかりやすく紹介していました。これは宿泊施設だけでなく、飲食店や小売業でも参考にできるのではないでしょうか。

(1)盛り文化

数あるSNSの中でも最近特に人気なのがインスタグラムです。そして、そのインスタをさらに盛り上げるのが「SNOW」というアプリ。このアプリで撮った写真に犬の耳をつけたり、頬をピンクに染めたりして「盛る」のが、若い女性を中心に大人気なのです。

【事例】THE RYOKAN TOKYO YUGAWARA(神奈川県)

THE RYOKAN TOKYO YUGAWARAホームページより

少しアレンジを加えて見栄え良くする「盛り文化」を、旅館でも取り入れた例として紹介されていた旅館が「THE RYOKAN TOKYO YUGAWARA」です。“和”を意識した施設内には写真映えする撮影スポットを数多く用意し、日本独特のアニメ文化を体感できる「コスプレ体験」というアクティビティを用意。その様子をSNSに投稿すれば料金が無料になるキャンペーンも行われています。

(2)ノスタルジック消費

2016年11月に発売された「ニンテンドー クラシックミニ ファミリーコンピュータ」は、昭和の代表的なおもちゃ「ファミリーコンピュータ」を再現できるとして話題になりました。コンパクトな手のひらサイズに生まれ変わった本体をテレビにつなぐだけで、1983年~1994年の人気30タイトルが遊べます。すでに製造は終了していますが、当時子どもだった世代にとっては懐かしく、現代の子どもには目新しいゲームとして人気を集め、ネット上では今も高値で取引されてます。大人から子どもまで、世代を問わず盛り上がれるものへの関心も最近のトレンドです。

【事例】道の駅 保田(ほた)小学校(千葉県)

道の駅保田小学校ホームページより

千葉県には廃校になった小学校の建物を利用した道の駅「保田小学校」があります。体育館は地元の食材や特産品の集まるマルシェになっており、教室は道の駅に併設する宿泊施設として利用されているほか、街のギャラリーとして開放されたりしています。昔懐かしいアルマイトの食器で食事ができる『保田小給食』は、親子の会話が自然と弾ませます。

(3)ソーシャライジング&コミュニティ

平成28年度に内閣府が行った「社会意識に関する世論調査」によると、社会の一員として社会のために役立ちたいと思っている人の割合は65.4%でした。資料を見ると、バブル崩壊以降、社会貢献に対する意識は高い水準で推移していることがわかります。特にここ数年は“おしゃれにエコを実践したい”という意識が高まっているようです。

【事例】TRUNK HOTEL(東京都)

TRUNK HOTELホームページより

渋谷に登場した「TRUNK HOTEL」はソーシャライジングを「自分らしく、無理せず等身大で、社会的な目的を持って生活すること」と定義し、誰しもが自らのライフスタイルの中で無理なくできる社会貢献の事例を増やすことがコンセプトです。ホテル内のインテリアには間伐材や古材を使用し、シャンプーやボディウォッシュなどは100%オーガニックのものを使用しています。ラウンジはコミュニティスペースとして、渋谷の街や人々に開放され、イベントやワークショップを通じて多種多様なつながりを持てる場を提供しています。

(4)記念消費

旅先で自分のためにお土産を買うという人は実に69.1%に上るそうです。その品物を使うたびに想い出がよみがえり、また行きたいという気持ちを呼び起こすことにもつながるので、お土産は旅行業界にとっても重要項目の1つです。地域の名産品や民芸品など、その土地の魅力が感じられるものを積極的に発掘して訪れる人に知らせることは、観光業の活性化にもつながります。

【事例】下呂観光ホテル(岐阜県)

下呂温泉ホテル ホームページより

温泉街を望む山の中腹にある「下呂観光ホテル」には、地元の名物を集めたセレクトショップ「うさぎ」があります。ちょっとしたお土産や普段使いできる品物を取りそろえているほか、近隣の観光施設や民芸品店の商品を置いており、ホテルを訪れる人たちに周辺のお店を紹介する役割も果たしています。

(5)1点豪華主義

ユニクロやH&Mなどのファストファッションが流行する一方で、ブランド財布や鞄なども根強い人気があります。最近はリーズナブルな洋服を着る代わりに、バッグやアクセサリーには高価なブランド品をチョイスする“1点豪華主義”的なファッションの若者も増えています。

【事例】ヤスダペンション(岐阜県)

じゃらん:ヤスダペンションの口コミ評価

旅行業界においては、強みとなるものを1つに決めて、注力することで成功している宿泊施設があるそうです。たとえば岐阜県の「ヤスダペンション」は、じゃらんの口コミ評価のうち、料理(夕食)が驚きの5.0点満点!総部屋数9室の小規模なペンションですが、口コミの評価の高さが集客につながっています。

(6)多様性・LGBT

働き方改革などが叫ばれるようになり、性別や人種の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れ、広く人材を活用するダイバーシティの考え方も広まりつつあります。性的マイノリティに対する理解も深まる傾向にあり、自治体によっては同性カップルにパートナーシップ証明書を発行し、結婚に準じる関係であることを公的に認める動きも出ています。

【事例】リッチモンドホテル プレミア浅草(東京都)

リッチモンドホテルプレミア浅草のホームページより

1日に5回の礼拝をおこなうイスラム教徒にとって、イスラム教の教えを守りながら海外を旅行することは困難が付きまといます。そのため最近は空港にイスラム教徒の人のための礼拝室が設置されたり、アルコールと豚肉の飲食を禁じられている彼らが安心して食事ができる「ハラール認証」のレストランも増えています。

東京の「リッチモンドホテルプレミア浅草」もイスラム教徒の人々が安心して滞在できるよう、礼拝室だけでなく礼拝の際に行う手足の洗浄用の洗い場や礼拝セットを用意しています。またハラール食材を使用した4種類のお弁当もあり、宗教的な制約の多いイスラム教徒の人たちも旅行を楽しめるよう、きめ細やかな配慮がされています。

ポイントとなるのは「広告」×「PR」×「SNS」

集客のためには、訪問のきっかけを増やしてイメージを定着させることが必要であり、「広告」と「PR」と「SNS」の活用が不可欠と長田氏は語ります。広告によってブランドを育ててPRし、人々を呼び込んでSNSによって拡散してもらうことが大切だそうです。

広告でブランディングする

広告は新聞や雑誌などの広告枠を買い取り、自ら主張したいことを企業側のしたい表現で、不特定多数の人に広く知らせることです。広告を作成する際には、ターゲット(情報を届けたい相手)とメッセージ(伝えたいこと)を明確にすることがポイントです。広告を上手に活用して地域のイメージを育て、ブランドとしての地位を確立することが成功の近道かもしれません。

PRはタイミングが大事

PRはPublic Relationの略で、広報と訳されます。情報の受け取り手は雑誌などのメディアです。情報が取り上げられるかどうかはメディアの判断になるため、PRはリリースのタイミングがキモになります。例えばじゃらん編集部では7月上旬時点で11月のネタ探しをしており、メディアが求めるタイミングでPRを打つと、取り上げられる可能性が高まります。

SNSで拡散をうながす

facebookやtwitterなどのSNSは一般の人が自発的に情報発信をしてくれます。SNSに投稿するために、わざわざ話題になっている場所を訪れるという人も少なくありません。SNSに投稿されやすいストーリーや撮影スポットを用意することで、訪れた人の自発的な発信を促すことで口コミの効果が期待できます。

まとめ

じゃらんフォーラムは主に宿泊施設を対象としたイベントのため、一般の人は参加できませんが、旅行業界にかかわらずビジネスに役立ちそうな情報が満載でした。充実した内容で非常に満足度が高かったです。

リクルートライフスタイルでは、ホットペッパーやじゃらんのクライアント企業向けに『CSカレッジ』を開催しているそうです。テーマはCS(顧客満足)とES(従業員満足)で、最新の事例や理論を学び実践する場を無料で提供しているとのこと。ホームページでは過去のセミナーレポートが閲覧でき、その様子を垣間見ることができますので、関心のある方は是非ご覧になってみてください。

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