押し寄せる中国人観光客にとって日本はどんな国なのか?

空港の国際線ターミナル

観光庁長官は2017年9月20日の記者会見で、訪日客が9月15日時点で2,000万人を突破したことを明らかにしました。これは前年よりも45日早い突破だそうです。年内に3,000万人を超えるかどうか、今後の動向が気になるところです。

2017年7月19日に観光庁から発表された【訪日外国人消費動向調査】平成29年4-6月期の調査結果(速報)によると、中国人観光客の旅行消費額の割合が大きく、依然として3分の1を占めています。中国人にとって馴染みのある「銀聯(ぎんれん)カード」や「支付宝(アリペイ)」といった決済環境を日本でも整備すれば、彼らの消費行動をさらに促進できる可能性が大いにあるため、簡単に導入できる決済サービスも増えています。

中国人にとって日本はどんな国?

古都の街並み

5年前の日本政府による尖閣諸島の国有化で、中国は現在も周辺海域での領海侵入を繰り返しており、日中関係は必ずしも良好とは言えません。その一方で中国人観光客の数は増えています。果たして中国人にとって、旅行先としての日本はどんな国なのでしょうか。

日本は現金しか使えない“ちょっと遅れてる国”

財布と日本円

中国の人民元は日本円に比べると偽造しやすく、偽札がたくさん出回っています。そのため現金での支払いの際には、店員が紙幣が本物かどうかを確認しています。また人民元の最高額の紙幣は100元札(執筆時点のレートで1,700円相当)なので、日本円で17万円相当の買い物をするためには100枚の100元札が必要です。

中国において現金は非常に使い勝手が悪く、当然のことながら高額の買い物で人民元を使うと店員に嫌がられてしまいます。その点、カードやスマホによる決済は現金のやり取りがなく、お札が本物かどうか確認する手間もないため、中国では急速に普及したものと考えられます。

その点日本では、スマホ決済どころかクレジットカードが使えない店も多く、「先進国のくせに遅れている」という印象を持つ人が多いようです。

店の品ぞろえの良さや店員の接客に感動!

市場の魚介

中国の大都市と地方都市では品ぞろえの格差が大きく、何か欲しいものがあっても買えないことが多いそうです。店員の接客もそっけないと言わざるを得ません。不動産価格の高騰により、店は販売価格を高めに設定しないと採算が取れなくなるので、消費者にとって商品の割高感もあります。

日本の百貨店やコンビニは大都市でも地方都市でも品ぞろえが良く、生活用品を簡単に買うことができます。店による価格の差もそれほど大きくありません。また店員のサービスのレベルは高く、そのおもてなし精神にも感服するそうです。

掃除が行き届いていてキレイ♪

日本のトイレ

日本は街角にゴミが山積みになっていたり、道が汚れていることが比較的少なく、駅のホームや店の中も掃除が行き届いています。商品の陳列は常に整頓されており、商品を見て歩くだけでも楽しいものです。そして何よりもトイレがキレイで設備が充実していることに中国人観光客は驚きます。

中国のトイレは一般的に水道管が細く、トイレットペーパーを流すと詰まってしまうので、使用済みの紙は個室内のゴミ箱に捨てるのが普通です。外国人の多いホテルや百貨店では日本と同じ感覚で紙を流すことができますが、田舎に行くと個室の壁がなかったり、ドア全開で用を足している人がいることも少なくないと言います。

ガイドブックによると、地域によっては洋式トイレにしっかり座らず腰を浮かせて用を足したり、便座に足を乗せてかがむ人も少なくないため、トイレが汚れていることが多いようです。またトイレットペーパーが備え付けられていないこともあるため、ポケットティッシュやウェットティシュを常に多めに持ち歩くと良いと書かれています。中国人留学生の中には日本の衛生環境に慣れてしまい、本国での生活に耐えられず、日本に戻ってきてしまう人もいるそうです。

中国の国内事情ってどんな感じ?

北京の歴史的建造物「紫禁城」

ところで、中国は今や“スマホ先進国”などと言われます。何故それほどまでにスマホが普及し、スマホ決済が普及したのか気になるところです。そもそも消費活動の構造はどのようになっているのでしょうか。

ネット通販の台頭

ネット通販

前述の通り、中国ではお店に出向いても欲しいものが買えないことも多く、ここ数年のスマホの普及に伴って消費者がネットショッピングへと一気に移行しました。ネットショップは店舗の維持費や物流費用を減らすことができ、販売価格を安くすることもできます。越境ECを使って海外の商品が簡単に手に入るようにもなりました。

北京のコンサルティング企業Analysysの発表によると、2015年度の中国の市場規模(BtoC)は約30兆円(1元=15円換算)でEC化比率は12.74%となっているそうです。経済産業省が発表した同年度の日本の市場規模(BtoC)は約13.8兆円で、EC化比率が4.75%ということなので、中国のネット通販の割合は日本のおよそ3倍です。

銀聯カード・支付宝・Wechat Payの普及

スマホを操作する女性

その一方で、中国国内では貧富の差が激しく、中国国民の大半がクレジットの与信審査に通らない現状があります。中国で主流となっている「銀聯(ぎんれん)カード」の大半は銀行キャッシュカードに搭載されたデビットカードとして発行されています。

また日本でも注目されている「支付宝(アリペイ/Alipay)」や「Wechat Pay(ウィ―チャットペイ/微信支付)」はスマホアプリによる決済方法で、こちらもアカウントに紐づけた口座残高、もしくはチャージ残高を超える支払はできません。

中国国内において「銀聯カード」や「支付宝」などの手数料はほぼ0です。そのため店頭での支払いは現金よりもカードやスマホ決済が喜ばれます。

海外のIT企業を締め出す「金盾」の存在

万里の長城

中国は共産主義の国で、言論統制なども行われていることはご存じだと思います。中国政府は検閲システム「金盾(きんじゅん)」によって、中国共産党や政治家に不都合な情報が含まれるサイトにはアクセスできないようになっており、中国本土からはGoogleやLINEに接続することができません。「金盾」は万里の長城(Great Wall)になぞらえて「グレート・ファイアウォール(Great Firewall)」とも呼ばれています。

ちなみに検索大手のGoogleは2006年に中国市場に参入しましたが、規制を強める中国政府と折り合いがつかず、2010年には撤退しました。このようなことから、中国では国内企業が市場を独占し、独自の文化を発展させています。

<参考>
日本経済新聞:尖閣国有化5年で浮かぶ課題(2017/9/12)
       訪日客2000万人突破、16年より45日早く アジアが増 (2017/9/20)
       グーグル、中国回帰への壁(2015/10/2)
観光庁:【訪日外国人消費動向調査】平成29年4-6月期の調査結果(速報)
東洋経済:中国が超速で「スマホ先進国」になれた事情

まとめ

歴史的な感情はともかく、中国人にとって日本は非常に快適で魅力あふれる観光地であるようです。一時期世間をにぎわせた“爆買い”は影を潜めたものの、日本の製品は質が良く、店員の接客も良いことから依然として購買意欲が高いことも伺えます。

現在はモノ消費からコト消費へ、観光客のニーズが移行しているとも言われます。とは言え、支払いに際しては馴染みのない日本円よりも使いなれたスマホ決済が使えた方が、中国人の財布の紐が緩みやすくなることは想像に難くありません。

次回は「支付宝」と「Wechat Pay」の特徴を比較してみたいと思います。

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