平成31年10月から消費税率は10%へ。あわせて実施される軽減税率制度とは?

こんにちは、ピピッとチョイス編集部です。度々先送りになっている消費税率10%への引き上げは、いよいよ平成31年10月に実施される見込みです。税率UPに伴い軽減税率制度も実施されることになっており、特に食品を中心に購入のシチュエーションによって税率が変わります。今回は、この軽減税率についておさらいします。

そもそも消費税ってどんな税?

<出典>国税庁:税の学習コーナー

消費税は、1954年にフランスで最初に導入された税制度です。現在は100以上地域採用されています。ヨーロッパ各国では20%程度、特に福祉国家と名高い北欧各国では25%と高い税率を課しています。

日本では平成元年から、主に社会保障と少子化対策を目的として消費税が導入されました。国税庁のホームページによると、「消費税は商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付する」と説明されています。

<参考>
国税庁:税の学習コーナー/税の国際比較

どうして消費税が引き上げに?

今回、消費税が引き上げられることになった背景には、少子高齢化があります。若い世代が急激に減る一方で高齢者が増えているため、社会保障に必要な財源を確保するのが目的です。消費税は所得税や法人税に比べると経済動向に左右されず、安定した財源としてふさわしいと考えられています。

<参考>
財務省:副大臣がお答えします/消費税引き上げの理由

軽減税率制度とは?

消費税はあらゆる商品やサービスに課税されます。所得の多少に関わらず一律で増税となるため、年金生活者や低所得者への負担がより重くなることが懸念されます。

低所得者に配慮する観点から設けられるのが「軽減税率制度」です。消費税の引き上げに合わせて平成31年10月1日から実施されます。これにより消費税の税率は、軽減税率(8%)と標準税率(10%)の2種類になります。

軽減税率の対象品目

軽減税率は、お酒や外食サービスを除く飲食料品と週2回以上発行される新聞(定期購読されるもののみ)に適用されます。飲食料品については「外食サービスを除く」とされていますが、その線引きが難しく、国会でもたびたび議論の対象となりました。

軽減税率の対象になるものの例

スーパーで購入する肉や野菜、菓子類などは軽減税率(8%)の対象です。また牛丼屋のテイクアウトやコンビニの弁当など、持ち帰りのための容器に入れたり包装する飲食料品も8%となっています。

ただし、イートインスペースで食べる場合には標準税率(10%)を適用することとされており、その判断については、当初税率UPが予定されていた2017年4月を前に社会的な議論が巻き起こりました。結局、軽減税率を適用外とする基準は「飲食に用いられるテーブルや椅子等の飲食設備を利用させて、飲食料品を飲食させる場合」という見解で一応の着地を見ています。

コンビニのホットスナックのように、イートインで食べることも持ち帰ることもできるような商品の場合、店員が会計時に持ち帰りかどうかを確認する必要が出てきます。確認方法については厳格な規定はなく、事業者に委ねられている状態です。顧客の申告によって税率が変わることになるため、事業者も対応に苦慮する事態が予想されます。

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軽減税率制度で何が変わる?

軽減税率の影響は飲食料品を扱う事業者だけの問題と思っている方も多いのではないでしょうか。でも実は、全ての事業者に影響があります。例えば贈答用の食品や接客時の茶菓購入などは軽減税率の対象です。そのため、納税額の計算に影響してきます。

また平成35年10月以降は「適格請求書省保存方式(インボイス制度)」が導入されます。これは複数税率制度のもとで適正な課税を確保するために設けられる制度で、消費税の納税にまつわる会計処理に変更が生じます。

インボイス制度とは

消費税は事業者が消費者から徴収して税務署に納めます。その際、事業者が仕入れなどの際に支払った消費税額を差し引きます。これを「仕入税額控除」といいます。

軽減税率制度によって8%と10%の税率が混在するようになると、この仕入税額控除の計算が複雑になります。より適正に仕入税額控除額を計算できるようにするために、平成28年度税制改正でインボイス制度の導入が決まりました。

インボイス制度で仕入税額控除の要件が変わる

仕入税額控除を受ける場合、「発行者及と受領者の氏名・名称」と「取引の日付と内容、税込額」が記載された請求書や領収書、レシートなどを帳簿とともに保管する必要があります(請求書等保存方式)。現在は消費税の納税が免除されている事業者(基準期間の課税売上高が1,000万円以下)から仕入れた場合でも、請求書等があれば仕入税額控除の対象に含めることができる状態です。

インボイス制度では、新たに「適格請求書発行事業者登録制度」が創設され、税務署に登録された適格請求書発行事業者(売り手)が交付した「適格請求書」もしくは「適格簡易請求書」の保存が仕入税額控除の要件となります。なお、「適格請求書」には登録番号や税抜き価格や提供税率、税率ごとに区分して合計した消費税額等が記載されている必要があります。

適格請求書発行事業者の登録は課税事業者を対象としており、免税事業者は「適格請求書」を発行することができないため、免税事業者から仕入れた場合は仕入れ税額控除を受けることができなくなります。つまり、従来よりも控除を受けるための要件が厳しくなるのです。

インボイス制度の導入スケジュール

消費税率が変更されると、事実上複数税率制度も開始になり、消費税の納税額の計算方法も変更を余儀なくされます。ただし、事業者の準備等に配慮して、平成31年10月1日から4年間は現行の請求書等保存方式を維持しつつ、区分経理に対応した「記載請求書等保存方式」という税額計算の特例を導入することになっています。

「記載請求書等保存方式」では、請求書などの発行はどの事業者でも行うことができますが、必ず「軽減税率の対象品目である旨」と「税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)」の記載が必要になります。適格請求書発行事業者の登録申請は平成33年10月1日から受付が開始されることになっており、インボイス方式の適用時期は平成35年10月1日からの予定です。

<参考>
J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]:ビジネスQ&A

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賢く利用したい軽減税率対策補助金

軽減税率制度により複数の税率が施行されるようになると、店舗では取り扱う商品ごとの適用税率を把握したり、税率ごとに区分して記帳する帳簿を用意するなど、さまざまな対策が必要です。例えばスーパーで買い物する場合、「キャベツ」の税率は8%ですが、「ビール」は酒類なので10%です。

ちなみに酒類に該当する「みりん」は10%ですが、「みりん風調味料」は酒類ではないので8%になります。これらの商品を仕入れる際には税率が正しいかどうか確認する作業も必要ですし、販売時にも税率に間違いがないかこまめにチェックしなければなりません。

複数税率が施行された場合、複数税率に対応しているレジを導入したり、受発注システムを改修して今のうちに準備をしておくと、作業の手間を省くことができるようになります。国は平成28年4月から軽減税率対策補助金の公募を開始し、複数税率への対応支援を行っています。

申請できるのは2種類

軽減税率対策補助金には、複数税率対応レジの導入などを支援するA型と受発注システムの改修などを支援するB型があります。

A型:レジ導入支援等

A型は、複数税率に対応できるレジを新規に導入したり、既存のレジを回収するときに使える補助金です。POS機能がないレジ(メカレジ・ガチャレジ)やPOSレジシステム、さらにはモバイルPOSレジシステムなども含みます。

補助率は原則として費用の2/3、レジ1台あたり20万円が上限です。複数台を導入する場合には1事業者あたり200万円を上限としています。補助対象はレジ本体のほか、キャッシュドロアやレシートプリンタ、クレジットカード決済端末などのレジ周辺機器も含みます。またリース契約(ただしファイナンスリースのみ)も補助金の対象です。

補助金の申請は機器を導入・改修して全ての支払いが完了した後に行います。リース契約の場合はリースの開始日以降に申請を行ってください。事業完了の期限は平成31年9月30日まで、申請は平成31年12月16日までとなっています。なお一部のメーカーや販売店などでは、申請サポートや代理申請サービスを行っている場合があります。

B型:電子的受発注システムの改修等支援

B型は既にパソコンなどによる受注システムを導入している事業者が対象の補助金です。指定の事業者に改修等を依頼するか、事業者自身でパッケージ製品やサービスを導入するかで申請の区分が異なります。電子的受発注システムに在庫管理や財務会計が付加されているものも補助の対象です。

補助率は改修・入れ替えにかかる費用の2/3です。補助の上限は発注システムおよび受注・発注両方の場合が1,000万円まで、受注システムのみの場合が150万円までとなっています。A型同様、リースも対象です。

申請はA型と異なり、システム改修・入替に着手する前に行います。また改修には専門知識が必要となるため、軽減税率対策補助金事務局が指定したシステムベンダーなどが申請手続きを行います。交付決定前に契約や作業着手をすると補助の対象から外れてしまうため、注意が必要です。

詳しくはこちら>軽減税率対策補助金事務局

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まとめ

消費税率を10%に引き上げるにあたって、経済的弱者への配慮のために設けられる軽減税率制度。これにより飲食系の事業者だけでなく、あらゆる業種の事業者に影響が出ます。複数税率に対応するための店舗の体制づくりもさることながら、経理関係の変更についても確認が必要です。税率が変わるまでにはまだ時間があります。早めに準備をしておきましょう。

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