キャッシュレスからスコアリングへ。日本にも信用スコアは広まるのか?

こんにちは、ピピッとチョイス編集部です。IT技術の進歩やインターネットの普及により、ビッグデータやAIの活用が取り沙汰されることが増えてきました。国内でもキャッシュレス化の流れを受けて、お金の動きがデータとして記録しやすくなっていることから、個人の信用を点数化する動きが見られます。今回は海外で広まりつつあるスコアリングエコノミーと日本の現状について取り上げます。

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日本のスタンダードな信用評価

例えば家を購入するとき、たいていの人は住宅ローンを組みます。ローンの申し込みを受けた信販会社は、CICなどの信用情報機関に照会をかけ、独自の基準を加味しながら返済能力を審査し、申込みを受理するかどうか判断しています。信用情報機関は、個人が現在契約しているローンやクレジットカードの利用状況などを加盟企業から収集して、照会に応じています。

信販会社はローン契約によって、貸したお金が回収できなくなるリスクを負います。返済能力の有無だけでなく、約束通りに返済されるかどうかも重要なポイントです。加盟企業には携帯電話会社も含まれており、携帯料金の支払いに遅延があると審査に通らないケースも見られます。

<参考>
株式会社シー・アイ・シー:信用情報機関の役割

海外で広まるスコアリング

今まで返済能力の判断は信用情報機関の情報をもとに行われていました。しかしITやキャッシュレスの普及により、お金の動きやその人の行動パターン、性格や信条までもデータとして集積できる環境が整いつつあります。

収集したデータを活用する手段として、信用度が高い人を優遇するスコアリングエコノミーの考え方が世界的に広まりを見せています。信用スコアが高い人ほど融資額や金利で優遇されるのが一般的です。

アメリカの「FICOスコア」

アメリカではフェア・アイザック(Fair Isaac Corporation/FICO)の「FICOスコア」が浸透しており、貸付業者の9割が加盟しているそうです。エキファックス(Equifax)、エクスペリアン(Experian)、トランスユニオン(TransUnion)という3つの信用情報機関が収集した返済履歴などのデータをもとに、個人の信用を数値化します。

20年以上前から利用されているこの信用スコアは、もともとクレジットカードや住宅ローンの審査に利用されていました。近年は活用シーンが広がり、就職や転居にも影響を及ぼす指標となっています。

<参考>
FICO:FICO® Score

中国で普及するスコアリング

中国でもQRコード決済アプリの普及とともに、信用スコアの活用が活発になっています。決済アプリを使うと信用スコアが上がって、さまざまな優遇が受けられます。逆に借金の返済が滞ると信用スコアが下がり、ローンを組む時の金利が高く設定されるなどの不利益を被ります。

中国はインターネットの利用に制限がかけられていたり、街中に監視カメラが設置されたりしています。日本人の感覚的には信用スコアも監視の一環のように思えますし、プライバシー保護の観点から不安を感じる人も多いと思います。

しかし今のところ、中国人から不満の声が上がっている様子はありません。スコアが上がると優遇されることが動機づけとなり、むしろモラルの向上に役立っているようです。

支付宝(アリペイ)の「芝麻信用(ゴマスコア)」

「芝麻信用(ゴマスコア)」は支付宝アプリに紐づいた信用スコアシステムです。支付宝は店頭での決済だけでなく、送金や公共料金の支払い、投資といった機能のほか、タクシーの配車やメッセージアプリとしての機能もあり、人々の生活に密着したサービスを展開しています。信用スコアが高ければ、賃貸物件の敷金が免除されたり、ビザの発給がされやすくなったりします。

WeChat Payは「騰訊信用(テンセントクレジット)」を展開

支付宝とのシェア争いを繰り広げるWeChat Pay。運営するテンセントは年金や社会保険の受け取りなどにも参入しており、街中の監視カメラを利用して迷子の捜索を行うシステムも提供しています。2018年1月からは「騰訊信用(テンセントクレジット)」で「芝麻信用」と同様のサービスを開始しました。SNSの発言や交友関係など、評価にはさまざまな要素が加味されています。

<参考>
MUFG:中国社会で活用が進む信用スコアは日本社会でも普及するのか?

日本でも始まるスコアリングエコノミー

日本人は借金を悪いことと考えがちです。しかし多くの企業は融資を受けて経営を成り立たせています。個人が家や車といった高額商品を買う時もローンを組むのがほとんどです。なぜ人はお金を借りるのか?――それは借金によって手に入れたお金が、望む未来をスピーディに引き寄せる“力”になるからです。

お金の貸し借りは信用によって行われます。その信用は過去の実績によって得られることがほとんどです。AIスコアの登場で「お金の動きが公明正大に記録されているかどうか?」がこれからの個人の信用を左右する可能性があります。

システムによる評価は20年前に失敗していた

2000年代の日本では、景気の低迷とともに金融機関が中小企業への貸し渋りや貸し剥がしを行い、社会問題になっていました。銀行などでは解決に向けて、中小企業の財務データをコンピュータで自動審査するスコアリングモデルを導入しましたが、なかなか上手く行かなかったようです。

今、改めて始まるスコアレンディング

それからおよそ20年。今度は金融以外のデータも加味した上でAIが評価するスコアリングシステムが登場し、個人向けの展開が進められています。既に実用化しているものもあれば、構想段階のものもあります。

日本初の信用スコア「J.Score(ジェイスコア)」

みずほ銀行とソフトバンクの共同出資により、日本初のAIスコア・レンディングとしてスタートしたJ.Scoreは、AIが評価したスコアに応じて、銀行よりも有利な条件で借り入れができるサービスです。調査項目は学歴や勤務先、現在の借り入れ状況、資産などに加え、お金に関する考え方やモノを購入する時の判断基準など多岐にわたります。yahoo IDやみずほ銀行と連携すると、スコアアップの可能性があります。

AIスコアによる貸付金利は年率0.8%~12%、融資の限度額は最大1,000万円です。カードローンは安くても14%程度の金利なので、かなり良心的ですが、借り入れは600点以上のスコアがつかないと利用できません。AIスコアが高ければ金利の引き下げや融資額のアップも見込めます。2018年10月からはAIスコア・リワードの取り扱いを開始し、英会話スクールの入会特典や特別宿泊プランなどが利用できるようになりました。

<参考>
株式会社J.Score:J.Score(ジェイスコア)

ドコモの「ドコモスコアリング」

2018年10月17日、ドコモは信用スコアリング事業への参入を発表しました。ドコモは金融機関向けに「ドコモ レンディングプラットフォーム」を提供し、ドコモが所有するビッグデータをもとにドコモユーザーの同意を得て信用スコアを算出します。

金融機関はドコモの信用スコアを審査に活用することで、適切な金利と貸出枠を設定することができます。dアカウントとも連携し、金融機関はドコモユーザーのバーチャルウォレット「ドコモ口座」にいつでも入金できるようになります。

ドコモユーザーはスマートフォンアプリ「レンディングマネージャー」で、金融機関での借入から返済まで、全ての手続きを完結させられます。またマネーフォワードとの提携により、家計と借入の状況から返済計画のアドバイスも行います。サービスの開始が予定されている2019年3月には、新生銀行による新サービスの提供がスタートする見込みです。

<参考>
ドコモ報道発表資料:金融機関向けに「ドコモ レンディングプラットフォーム」を提供

LINEも信用スコアへの事業参入を発表

2018年11月27日にはLINEも信用スコア事業への参入を発表しています。みずほフィナンシャルグループと協力し、個人向けスコアリングサービス「LINEスコア」と個人向けローンサービス「LINEポケットマネー」を、2019年上半期から開始する予定です。

LINEは2018年10月に「LINEスマート投資」や「LINEほけん」といったサービスをスタートさせています。メッセージアプリの枠に捕らわれないサービスを提供することで、独自の地位を確立しようとする意図が垣間見えます。

<参考>
LINE:Fintech領域における事業戦略発表会「LINE Fintech Conference」を開催

まとめ

現金は匿名性が高く、お金の出どころや流れが不透明なので、盗難や不正利用の温床になりがちです。一方キャッシュレスはお金を電子化するため、お金の動きが必ずデータとして残ります。

クレジットカード決済やQRコード決済は、中立な第三者である決済サービス業者を介して行われるため、単なるお金の記録よりも信頼性の高い情報として評価されます。この先、社会的信用を勝ち得るためには、今まで以上にキャッシュレスの活用が必要になるかもしれません。

信用スコアが経済活動を変えるスコアリングエコノミー。果たして現金至上主義の日本でも浸透させることができるのでしょうか?

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